忍者ブログ
ジャンプ系中心によろずSS載せていきます。 HPの拍手レスもこちらから。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

高杉誕生日おめでとう!!

誕生日SSは、本誌でついに結託した神威と高杉の後日談です。

 

 

[同じ月を見ている]

 

目に映るもの全てが、煩わしい。

片目で見る世界は、今日も変わらない。

地球では太陽と月で時の過ぎるのを感じていたが、宇宙に上がってからは時計の針でしか知る術がない。

ときどきふと、手の爪が伸びているのに気付き、体が刻む”時”を感じてギュッと拳を握りしめる。

 

「なんで俺はまだ生きているんだろうなぁ。」

 

松陽先生がいなくなったのに。

目を閉じると、夕焼けを思い出す。

先生とヅラ、銀時と共に歩いた土手は、朱色に染まった雑草と赤トンボが飛んでいた。

昼間は騒々しかった蝉の声も、夕暮れと共に落ち着いてきていて、ああ夜が来るんだと実感したものだった。

家に帰れば、夕飯が待っている。

そしてまた、朝には先生のいる寺子屋へ行く。

そんな日々の繰り返しがずっと続くはずだったのに。

 

目を開けると、窓の外は暗い空間だけがある。

いくら星が瞬こうと、圧倒的な闇が宇宙なのだ。

なんだか可笑しくて、下を向いて笑った。

 

「なにが可笑しいの?」

 

突然前方から声がした。

顔を上げると、笑顔があった。

最近行動を共にするようになった春雨の団長、神威。

銀時と一緒にいるピンク頭の女の兄貴。

”笑顔”が殺しの作法ってところが、頭のネジぶっ飛んでて面白いと思った。

"壊し方"を知っているヤツは大歓迎。

そうでなきゃ、”祭り”は盛り上がらねぇ。

 

「地球にいた時は宇宙はきれいだと思ってたが、とんだ勘違いだったなと可笑しくなったのさ。」

気配を消して現れるのはいつものことだ。

笑い返してやりながら、立ち上がる。

「ふぅん。」

大して興味がないといった感じのイントネーション。

この男は質問をする割に、返答に対する反応が薄い。

何を期待しているのか知らないが、俺に求めるのは筋違いってもんだ。

「地上でキラキラ光ってた星も、こうやって黒い海ん中漂ってると全然眩しくねえんだなと思ったのさ。」

「へぇ~。侍ってみんなそんなこと考えてるの?」

ガキのようなことを聞いてくるんだなと苦笑する。

「銀時はどうか知らねぇが、俺ァは情緒を大切にしてるんでな。」

ピクリと神威の眉が動く。

「ああそうなんだ。」

笑顔はそのままだが、声のトーンが下がった。

「アイツのことが気になるか?妹がべったりだもんな。」

瞬間、殺気が高杉にぶつかった。

「どんだけ消え去りたくとも、情も絆も忘れられるもんじゃないぜ。」

袂から煙管を取り出し、見つめた。

地球で桂と共に、紅桜と戦う銀時を見上げた。

あいつらも松陽先生を、教えを、覚えていた。

それが無性に嬉しくなる時がある。

「せいぜい後悔しないようにしな。」

煙管を仕舞い直し、神威の脇を通り過ぎようとした。

しかし、腕を掴まれた。

「ねぇ、君だったら、好物のオカズはいつ食べる?」

殺気を収めた神威が聞く。

「質問ばっかだな。・・・俺は最初に食べる。じゃないと、他の奴に食べられちまうからな。」

答えに納得したように一つ頷くと、神威は高杉の腕を放した。

「俺は、最後に食べるタイプなんだ。君と全く逆だね。」

そう言って、神威は部屋から出て行った。

「・・・いや、案外一緒なんじゃないかねぇ?胃の中納めるか、他者の箸を防ぐか、好物を外敵から守る方法が違うだけでさ。」

 

俺も神威も、太陽が、先生や妹が眩しいんだ。直視できないんだ。

だから、太陽の光を受けて輝く月である銀時に目が行く

あいつがいる限り、太陽がまだそこにあると分かるから。

 

「晋助様~、お誕生日おめでとうっス!一番にお祝いに来たっス!大広間にお酒とケーキ用意したんで、皆で一緒に食べましょう!」

また子が部屋に駆け込んできた。

ふと時計を見上げれば、12時を指している。

そうか、今日は俺の誕生日か。

「ああ、今行く。」

 

 

 

**********************************

これ、誕生日祝ってないよね?

ただ単に二人の会話が書きたかっただけっていう。。。

タイトルは窪〇さん主演の映画からいただきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

PR
苦しくて、Tシャツの胸のあたりを右手で握り締めた。
すると、その上に冷たい手が触れた。
誰だ?
「ロックオン。」
上から声がする。
俺は、閉じていた目を開けた。
すると、心配そうな顔をしたアレルヤが覗き込んでいた。
なぜここにいるのだ。
問いかけようとしたが、声が擦れて出ない。
唇の動きで察したアレルヤが、サイドボードからペットボトルをつかみ、蓋を開けた。
「体、起こせる?」
コクリと頷くと、アレルヤは右手を俺の背中の下に差し入れ、右の脇の下まで回し、そのまま上体を起こしてくれた。
片手で成人男子の体を起こせる腕力に驚いた。
「はい、どうぞ。」
左手で差し出されたペットボトルを受け取り、ミネラルウォーターを飲み干す。
喉を通る液体の冷たさと、全身に沁みていく感覚が気持ちいい。
「ふう。」
手の甲で口元を拭い、アレルヤに空のペットボトルを渡す。
「サンキュー、アレルヤ。」
左後方にある顔に向けて、感謝の意を述べる。
「どういたしまして。」
息がかかるくらい近くにある顔が、微笑んだ。
首を正面に戻し、視線を落とす。
自分の手をじっと見る。
さっきまで、なにに飢えていたのだ。
さっきまでの渇きは、どこへいった?
あの抑えきれない衝動は、なんだったのだ?
手を握ったり開いてみる。


「・・・よかった。元気そうで。」
背中にクッションを挟んで、俺がもたれかかれるようにセッティングすると、再びベッドの横の椅子に座り、アレルヤが呟いた。
その言葉で、自分がなぜベッドに寝ているのか、その理由に思い至った。
そうだ、俺、事故に遭ったはずだ。
でも、手は負傷してない。
ちゃんと動いてる。
「俺、どっか怪我してる?」
アレルヤに問いかける。
「うん、まあ。・・・痛み、感じないの?」
「なんか、さっきまでずっと胸が苦しかった。」
胸を触る。
包帯の感触が、Tシャツ越しに伝わる。
「でも今は、痛くない。」
言った途端に、猛烈に空腹を感じた。
体の力が抜け、支えきれずにクッションにもたれかかる。
「・・・アレルヤ、悪いけど、食べ物持ってきてくれないかな?」
ちょうどよくお腹が鳴る。
「血も足りないみたいだ。」
額を押さえる。
「分かった、急いで持ってくるよ。」
椅子から立ち上がると、ドアへ早足で向かうアレルヤ。
「すぐに戻ってくるから。」


天井を見上げながら、さっきまで体中を駆け巡っていたモノを思う。
あれは、多分生存本能ってやつなのだろうか?
体が、負傷したところを回復させようと、脳に働きかけ、俺の意識に訴えてきた。
”生きろ”と、”生きよう”と、俺の体は叫んでいたのだ。
俺の意思よりも強く。
失ったものを補うための、エネルギーを欲していたのだ。
体中からのサインが、俺を覚醒させた。
目を閉じたままではいられないように、悪夢さえ見せて。
これじゃあ、生きてるんだか、生かされてるんだか、分かったものではない。
ふと、自嘲的に笑うと、アレルヤが帰ってきた。
「おまたせ。いっぱい食べて、早く良くなってね。」
「ああ、そうだな。」
精一杯、生きなければ。
俺が奪った命の分まで。


--end--



まだ見てないけど、21話後ってことで。
アレルヤとロックオンのBD小説。
何日過ぎてるんだよって話ですが・・・。

イメージはね、あれですよ。
「カリオストロの城」でルパンが撃たれて、回復するために食べ物めいっぱい頬張ってるシーン。
子供の頃から日テレにジブリ作品を刷り込まれてきたので、セリフまで覚えてるよ・・・。







「ルイス、はいこれ。」

緑色の粉末のかかった物体。

「・・・なにこれ。」

沙慈にバレンタインのプレゼントを渡しにきたのに、先に渡された。

しかも、得体の知れないものを。

”緑色・・・粉末・・・これって、まさか・・・・”

「沙慈ひど~い!!恋人にカビを贈るなんて!」

”私、そこまで嫌われるようなことした?!”

ルイスの勘違いを慌てて訂正する沙慈。

「違うよルイス!これは、カビじゃないって!」

ぽかぽか叩くルイスから離れ、落ち着くよう促す。

「カビじゃないなら、なんなのよーう!」

もう既に、ルイスの目には涙が浮かんでいる。

「あのね、これは抹茶って言って、お茶の葉を粉末にしたものだよ。」

先に言ってからあげればよかったなと、沙慈は反省した。

早とちりな恋人は、小さなことで感情を爆発させる。

分かっていたはずなのに。

「抹茶?・・・てことは、食べられるの?」

「うん。ルイスに食べてもらいたくて作ったんだ。抹茶の生チョコ。」

「・・・実はね、私も作ってきたの。」

さっきできたばかりの焼きたて。

ちょっと不恰好だけど、味はなかなかイケてるチョコマフィン。

普段は料理しないけど、今日だけは頑張ってみた。

だって・・・

「僕の為に作ってくれたの?どうしよう、すっごい嬉しい!」

沙慈が喜んでくれると思ったから。



手作りのプレゼントを交換して、二人で美味しいねって笑い合う。

「沙慈と会えて、よかったな。」

「僕も、ルイスと会えてよかったよ。」

恋人と過ごす時間の、なんと甘いことか。


「はい。今年はムースだって。」 

丸いケースを目の前の男に差し出す。

中身は、チョコレート。

毎年この時期に限定の商品が出るチョコレート店の新作を、この男にあげるのが、近年の恒例行事になっている。

金髪碧眼の美男子が、チョコに目を輝かせる様は、かなり興味深い。

そして、僕がチョコをあげる代わりに、彼も僕にチョコをくれる。

彼の興味を引いたチョコを。

「貝の形をしたものを見つけたんだ。味はチョコだがな。」 

コーヒーをカップに注いで、グラハムに渡す。

彼は、机に腰掛けたまま、指でチョコを摘まんで食べ始めた。

「おいおい。行儀が悪いぞ。」

一応たしなめておく。この男は本当に、27歳なのだろうか?

「いいじゃないか、カタギリ。美味しいものは、すぐ食べたいのだから。」
 
ムースチョコをゆっくり味わい、嚥下した後に指を舐める。

体温が高いので、チョコを食べるとき、彼はいつも指先で溶かしてしまう。

チュッと音を立てて、指を唇から離すと、コーヒーに口をつける。

まったく、忙しない男だ。

僕もコーヒーをすする。

「カタギリ、ほら。」

ムースチョコを摘まんで、僕に食べさせようとする。

屈託のない笑顔に押され、口を開く。

チョコから彼の指が離れるときに、僕の唇に触れた。

「美味しいだろ?」

見上げてくる目は、キラキラしている。

なんなのだ、この生き物は。

僕は、堪らない気持ちになった。

「・・・ああ、美味しいな。」

拳を握りしめ、なんとか衝動を抑える。

舌に滑らかな食感が伝わってくる。

そして、上品な甘さが。

「お前のも、食べたい。」

さっき自分で持ってきたプレゼントを、手に持ち、小首を傾げる。

計算してやっているなら、大したヤツだ。

「はいはい。好きにしなよ。」

溜息をつき、コーヒーを自分の机の上に置く。

グラハムからチョコを受け取り、包装紙を取って、箱を開ける。

中には、白と茶色のマーブル模様の貝が並んでいた。

「すごいな、ほんとに貝みたいだ。」

一つ摘まんで、口に含む。

「でも、確かにチョコだね。」

「だろ?喜んでもらえたみたいだな。選んだ甲斐があったよ。」

僕の反応をみて、彼の方がよほど嬉しそうな顔をした。

「・・・はい。」

一つ摘まんで、彼の口元に運ぶ。

いたずらっ子のような顔で笑い、僕の目を見ながら口を開いた。

「いただきます。」

ぱくっ。

「おいおい、僕の指まで食べないでくれよ。」

かなり動揺した。

口内は温かく、僕の指にどんどん熱を伝えていく。

チョコを舐めようとする舌が、指も一緒に舐めていく。

ああ、心臓が壊れそうだ。

でも、彼から目が離せない。指を、引き抜けない。

チョコレートは、すぐに溶けてしまったけれど、彼は、僕の指をなかなか解放してくれなかった。

チュッと、音を立てて離れていった唇に、キスしたくなって、彼の顔ごと引き寄せて、口付けた。

首の後ろを右手で押さえ、彼が離れていかないようにした。

すると、彼は目を閉じて、僕の背中に腕を回した。


口の中は、ほのかにチョコの香り。

体温の高い彼の体は、僕の体に熱さを伝えていく。

コーヒーの湯気が立たなくなるまで、僕らは唇を離さなかった。









 
「サンキュー。ありがたく食べさせてもらうぜ。」

今日はバレンタイン。

コーラサワーは朝から大忙しだった。

なにせ、ひっきりなしにやってくる女性たちからチョコを受け取り、一人一人に感謝を述べ、キスをプレゼントしなければならないからだ。

でも、苦ではない。

コーラサワーにとって、女性にもてることは、なによりも嬉しいことだ。

パイロットをやっているのも、一番目立つし、カッコイイからに他ならない。

”ああ、最高の気分だぜ!”

女性に囲まれて、ウキウキしているコーラサワー。

そこへ、後ろから規則的な靴音が聞こえてきた。

振り向かなくても分かる。

カティだ。

足音が近づいてくる。

タイミングを見計らって、振りかえる。あくまでも自然に。今気付いたというフリをして。

「あ、大佐!チョコ下さい!」 

笑顔全開で話しかける。

靴音が止まった。
 
「なぜ貴様にやらねばならん。」 

”よし!応えてくれた!” 心の中で、ガッツポーズ。

カティは、他の女の子と違い、幾度となく口説いては袖にされてきたので、話を聞いてくれるだけでも嬉しい。

「日々大佐の為に働く、このAEUのエースパイロットですよ、俺は。なにかご褒美くださいよ~。ほら、飴と鞭っていうでしょ~?」 

ここぞとばかりに、畳みかける。

すると、カティは、口の端を上げた。

「言葉の使い方を間違えているぞ。コーラサワー。・・・まあいい。そんなに欲しいか?ご褒美が。」

「え?ほんとにくれるんですか!?」

カティの言葉を聞いて、コーラサワーは驚いた。

ダメ元で言っただけで、実現するとは思ってもみなかったからだ。

そんなコーラサワーの反応に満足したように、笑みを深くし、言葉を続けるカティ。

「だが、私のチョコは、高いぞ。・・・それに見合う働きを約束するなら、やらないでもない。」 

腕組みをして、目を細める。こちらの反応を窺っている。

「任せといて下さい。パトリック・コーラサワー。名に恥じぬ働きを誓います!」 

すぐさま敬礼をし、誓いを立てる。

惚れた女の為ならば、死ぬ覚悟もできている。

その言動に満足したように、ペロリと唇を舐めるカティ。

「よろしい。期待してるぞ。チョコは、あとで部屋に取りに来い。以上だ。」

「はっ!」

再び靴音が鳴り出す。

その音を聞きながら、コーワサワーは、素晴らしい上司に巡り会えたことを、神に感謝した。 



カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新コメント
プロフィール
HN:
sai
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
カウンター
アクセス解析
忍者アド
忍者ブログ [PR]