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苦しくて、Tシャツの胸のあたりを右手で握り締めた。
すると、その上に冷たい手が触れた。
誰だ?
「ロックオン。」
上から声がする。
俺は、閉じていた目を開けた。
すると、心配そうな顔をしたアレルヤが覗き込んでいた。
なぜここにいるのだ。
問いかけようとしたが、声が擦れて出ない。
唇の動きで察したアレルヤが、サイドボードからペットボトルをつかみ、蓋を開けた。
「体、起こせる?」
コクリと頷くと、アレルヤは右手を俺の背中の下に差し入れ、右の脇の下まで回し、そのまま上体を起こしてくれた。
片手で成人男子の体を起こせる腕力に驚いた。
「はい、どうぞ。」
左手で差し出されたペットボトルを受け取り、ミネラルウォーターを飲み干す。
喉を通る液体の冷たさと、全身に沁みていく感覚が気持ちいい。
「ふう。」
手の甲で口元を拭い、アレルヤに空のペットボトルを渡す。
「サンキュー、アレルヤ。」
左後方にある顔に向けて、感謝の意を述べる。
「どういたしまして。」
息がかかるくらい近くにある顔が、微笑んだ。
首を正面に戻し、視線を落とす。
自分の手をじっと見る。
さっきまで、なにに飢えていたのだ。
さっきまでの渇きは、どこへいった?
あの抑えきれない衝動は、なんだったのだ?
手を握ったり開いてみる。


「・・・よかった。元気そうで。」
背中にクッションを挟んで、俺がもたれかかれるようにセッティングすると、再びベッドの横の椅子に座り、アレルヤが呟いた。
その言葉で、自分がなぜベッドに寝ているのか、その理由に思い至った。
そうだ、俺、事故に遭ったはずだ。
でも、手は負傷してない。
ちゃんと動いてる。
「俺、どっか怪我してる?」
アレルヤに問いかける。
「うん、まあ。・・・痛み、感じないの?」
「なんか、さっきまでずっと胸が苦しかった。」
胸を触る。
包帯の感触が、Tシャツ越しに伝わる。
「でも今は、痛くない。」
言った途端に、猛烈に空腹を感じた。
体の力が抜け、支えきれずにクッションにもたれかかる。
「・・・アレルヤ、悪いけど、食べ物持ってきてくれないかな?」
ちょうどよくお腹が鳴る。
「血も足りないみたいだ。」
額を押さえる。
「分かった、急いで持ってくるよ。」
椅子から立ち上がると、ドアへ早足で向かうアレルヤ。
「すぐに戻ってくるから。」


天井を見上げながら、さっきまで体中を駆け巡っていたモノを思う。
あれは、多分生存本能ってやつなのだろうか?
体が、負傷したところを回復させようと、脳に働きかけ、俺の意識に訴えてきた。
”生きろ”と、”生きよう”と、俺の体は叫んでいたのだ。
俺の意思よりも強く。
失ったものを補うための、エネルギーを欲していたのだ。
体中からのサインが、俺を覚醒させた。
目を閉じたままではいられないように、悪夢さえ見せて。
これじゃあ、生きてるんだか、生かされてるんだか、分かったものではない。
ふと、自嘲的に笑うと、アレルヤが帰ってきた。
「おまたせ。いっぱい食べて、早く良くなってね。」
「ああ、そうだな。」
精一杯、生きなければ。
俺が奪った命の分まで。


--end--



まだ見てないけど、21話後ってことで。
アレルヤとロックオンのBD小説。
何日過ぎてるんだよって話ですが・・・。

イメージはね、あれですよ。
「カリオストロの城」でルパンが撃たれて、回復するために食べ物めいっぱい頬張ってるシーン。
子供の頃から日テレにジブリ作品を刷り込まれてきたので、セリフまで覚えてるよ・・・。







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